『カモメのジョナサン』よりまなぶ 2
何よりも読みやすいし、中古なら108円で手に入るので実際に読んでもらう方が早いのですが、まず簡単にあらすじを紹介します。
あるところに、大多数とは違った風変わりなジョナサンというカモメがいた。
ジョナサンは他のカモメたちがあたりまえにしている習慣から遠ざかり、一人飛ぶことの練習をしていた。
やがて新たな技術を身に付けたがしかし、群れの仲間には受け入れられず、<遥かなる崖>への流刑に処されてしまう。
しかしその後も一羽だけであらゆる技術を身に付けた。そしてある時、<本当のふるさと>よりジョナサンを迎えに来たと言う二羽のカモメに出会う。彼らの見事な飛行技術にジョナサンは驚嘆し、その世界へ行くことを決意。
やって来た新たな世界でジョナサンは、自分と同じような連中と飛行技術を高め合う。能力は格段に向上したが、それでも限界があることにも気付く。
ある時そのグループの長老と言われるチャンから、ここは天国ではないということを教わる。長老の瞬間移動を目の当たりにしたジョナサンは、早速チャンからの手解きを受ける。チャンは言う。
「天国とは時間ではなく、場所でもない、それは完全なる境地のことである」
練習の末、ジョナサンは自分が肉体にとらわれる事のない完全なカモメであることを知る。そして瞬間移動をものにした。その後もあらゆることを素早く学んだ。
チャンに言われた通り、愛することを学ぶほどに、ジョナサンには昔自分がいた地上が思い出された。
仲間からの反対を押しきり地上に戻ると、過去の自分と同じように熱意をもって生きるカモメたちに飛行技術の指導を始めた。
生徒は次第に増えていった。しかしそれが、カモメ本来の無限の思想を表現する一つの段階だということを理解する生徒は居なかった。
そしてある時、生徒たちと昔の群れに戻ると、同じように教え始めた。
群れからの、追放されたカモメに対しての反発は多かったが、それでも自由と飛行の喜びを求めて生徒になる者もいた。
ジョナサンはこのように説いた。
「我々は偉大なカモメの思想そのものであり、翼の先から先まで、これが自分だと思う思考そのものなのだ。思考の鎖を断てば、肉体から自由になれる。飛ぶことは、我々がその真の自分を表現するための一つの段階なのだ」
そして、私はただの飛ぶことが好きなカモメなんだから神様に祭り上げんでくれ、と言い残し、虚空の中へ消えていった。
そしてその思想と実践は、生徒の一羽であったフレッチャー・リンドに受け継がれる。
フレッチャーはジョナサンの不在に動揺したが、ふと、自分の受け持つ生徒たちの真の姿を目の当たりにした。そして無限なのだということを理解した。
フレッチャーの完全なる者への歩みはすでに始まっていた。
ここで物語は終わります。
数年前刊行された完全版というやつは更にそのあとの話を付け加えているが、あれは完全な蛇足と言わざるを得ない。
儲けたい出版社の下心と私は思っている。
新しく付け足した4章で、わざわざ迷信に走ったカモメたちを描写する必要などなかったのだ。
なぜなら、わざわざ光を遮るものに目を向ける必要はなく、この本は、熱い魂を掻き立てるスマートな本だから。
本の性質を誤解した改悪とでも言えようか、なぜ初版に4章がつかなかったのか、その理由をなぜ考えなかったのだろうか?
そんなことはさておき、次回からきちんとした説明に入ります。